墓石文字や兵士の教科書を使ったコラージュ-高崎で「反戦作品」展示

「懐」(194センチ×162センチ)。新聞や墓石文字が目を引くが、よく見ると人間の手と腕の骨が

「懐」(194センチ×162センチ)。新聞や墓石文字が目を引くが、よく見ると人間の手と腕の骨が

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 高崎市出身の作家、斉藤健司さんの反戦コラージュ作品が高崎市庁舎(高崎市高松町)の21階展望ロビーに展示されている。

100号以上の大作を並べた会場

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 展望ロビーでの作品展示は今回で21回目。同市のアートワーク選定委員会が1年に2人ずつ作家を選定し、各数カ月間展示する。

 斉藤さんは第二次世界大戦ただ中の1942年、高崎市で生まれた。斉藤さんが2歳になった時、父親は出征。終戦を迎えても父親が帰ることはなかった。

 斉藤さんの生家は同市郊外で農家を営んでいた。農業に取り組み始めたのもつかの間、道半ばに外地で果てた父親に対する思いは年を追う毎に増幅、やがてその思いを込めたコラージュ作品を手がけるようになる。

 制作にあたっては北京、ハルピン、重慶、フォリピンのルソン島、沖縄など戦跡での取材を重ね、沖縄では遺骨収集活動にも参加した。

 今回展示中の作品は2002年~2008年に制作された6作品で、紙、布、アクリル絵の具が使われている。文字の書かれた紙は戦争中に兵士が教科書として使用した「典範類」や、墓石の拓本など。幾重にも貼り重ねる作業が戦死者への鎮魂にも見える。

 こうした作品について斉藤さんは「ずっと以前から(父親のことを)作品にしたいと思いながら表現できないでいた。やっとの思いで手がけながら10数年。重いテーマであるが今後も描き続けたい」と話している。

 展示は今年11月まで。

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