ジュエリーを造形美術に押し上げた作家、石川珂旦(かたん)さんが1月14日から、高崎タカシマヤのアートギャラリー(高崎市旭町、TEL 027-327-1111)で新作展「石川珂旦・美の世界展」を開催している。
石川さんは1980年代、独自の世界観を持つジュエリー作品を発表し、現在までに国内外の画廊、タカシマヤ、三越、松屋、そごう、プランタン銀座など有名百貨店の美術サロンで展示会を開催してきた。
「指輪という小さいものの中で三次元の曲面を組み合わせ、いかに立体として完成させるか」(石川さん)をテーマにした作品は、通常の指輪の概念を打ち破る独特のフォルムが特徴。
石川さんは「立体は光と陰によって見える造形。全部がピカピカに光っていたら立体的に見えない。光と陰、そして指の動きに伴って動く曲線の軌跡=時間という四次元の世界を表現しながら指輪としての機能を果たす造形は私が見る限り、私が手がけるまで存在していなかった」と振り返る。
展示中の指輪は手に取って指を通し、装着感を確かめることができる。装着した人が一様に驚くのは、快い装着感もさることながら、装着した人しか見られない角度から見る造形美だ。
石川さんは「石の配列を主にしたデザインに終始することで二次元的になっている指輪と違い、見る角度によってさまざまな表情が見えるはず。これに動きを加える。つまり日常生活の動きにより光が変化し、装着した人自体が優美に見える」とも。
今回は指輪、ピアス、ネックレスなどのジュエリー97点、オブジェ15点、版画などの平面作品20点を展示する。石川さんのジュエリー以外の作品が見られるのは珍しく、「ぜひこの機会に一人でも多くの方に私の美の世界観を感じてもらえたら」(同)と来場を呼びかけている。
価格は4万6,620円~126万円。開催時間は10時~19時(土曜・日曜は19時30分、最終日は14時まで)。1月20日まで。14日~18日には石川さんが在廊。