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58歳で起業「高齢者向け出張美容サービス」10年 今後の目標

明るく、前を向く範子さん。更なるスキルアップを目指す

明るく、前を向く範子さん。更なるスキルアップを目指す

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 寝たきり高齢者を対象にした出張美容サービスを手がける美容室「Re(リー)」(前橋市昭和1、TEL 027-235-1420)が10周年を迎えた。

【写真】美容室「Re」店舗外観

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 店主で美容師の嶋倉範子さんは山形県出身。都内の広告代理店に勤務した後、嶋倉幸夫さんと結婚。幸夫さんの転勤とともに富山、青森、新潟、群馬、京都など10回の引越しを経験した。最後の赴任地は自身で選ぶことができたそうで、二人は群馬を選んだ。

 範子さんは「子どもたちは転校に次ぐ転校で大変だったと思う。群馬の人は県外の人も受け入れてくれるあたたかさがある。山形、夫の出身地の富山のほぼ真ん中で東京にも近い。冬でも布団が干せるし、野菜はおいしし、落ち着く先として不安はなかった」と振り返る。

 じっとしているのが苦手という嶋倉さん。アラフォーで介護の仕事を始めると、専門学校に通うなどして50歳でケアマネージャーの仕事に就いた。54歳の時、寝たきりの高齢者のための出張美容サービスを知り、美容師になろうと美容学校に入学。58歳で資格を取得した。

 出張美容サービスを行う場合も店舗を用意しなければならない。法律で義務づけられているのだ。そのため自宅の一部を改修し、美容室「Re」を開店。2009年5月、59歳の時だった。

 前橋の地理にも詳しくなったが、カーナビがあっても目的の家が見つからないこともしばしば。赤城山などへの出張は幸夫さんが運転を買って出てくれるという。

 顧客は生活環境も身体の状態もさまざま。それでも「寝たきりになっても女性はもちろん、男性も髪型へのこだわりがあるということ。いくつになっても自分らしさを保ちたいという気持ちは変わらない」という。

「今の目標は、体を起こすことが困難な方で、介助しても頭が少ししか上がらない状態での後頭部のカットのスキルアップ。バリカンだといやがる人が多いので、どんな状態でもできる限りハサミでカットして差し上げたい」と意気込む。

 出張を含む完全予約制。

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