魚のオブジェを焼く陶芸家、松尾昭典(まつおしょうてん、渋川市)さんの作陶展が12月13日、阿久津画廊(前橋市南3、TEL 027-223-2259)で始まった。
松尾さんは大分県出身で、1971年から益子、萩、小石原、沖縄などで修行し、1976年に大分県津久見市で独立、1991年に赤城山に移り住み窯を開いた。
日用雑器の制作がメーンだった松尾さんが「魚」をテーマにした作品を手がけるようになったのは4~5年前。「無類の魚好き。釣りも大好き。木彫の魚のオブジェはあるが、立体的なリアルな造形の焼きものは少なく、チャレンジしてみようと思った」(松尾さん)のがきっかけだ。
それから松尾さんは魚についての研究を始めた。リアルに魚を再現するためには形はもちろん、リアルな色を再現しなければならない。「個々の魚の色を再現するために釉薬(ゆうやく)を調合する。釉薬ごとにある程度焼き上がりの色を予測できるが、火の加減によって色が変わってしまうため温度管理が難しい」(同)という。
松尾さんは現在、オブジェにとどまらず魚の造形を日用雑器に生かす試みも始めた。「魚本来の美しい造形と実用性の融合しようとすると、これが案外難しく」(同)、コイをモチーフにして作った、しっぽから酒を入れ口から注ぐとっくりは「注ごうとするとしっぽからも酒が出てしまう。2人分を一度に注ぐのにはいいが、花差しとして使うしかない」(同)と笑う。
今回はフグやコイのはし置き、カエルの土鈴、アユやヤマメのペーパーウエートなどの小さなものから、53センチメートルのアジアアロワナまで魚関連で約50点、花器、皿、ぐい飲みなどの日用雑器約100点を展示している。
価格は800円(はし置き)~10万円(アジアアロワナ)。開館時間は10時~18時30分。月曜定休。今月21日まで。