「ムーミン」の愛称で親しまれてきた電気機関車「EF55」のさよなら運行が12月6日、いよいよ始まる。
「EF55」は昭和11年(1936年)、流線型ブームに乗って登場した電気機関車だが、3両しか製造されなかった。量産に至らなかった原因は、「ムーミン」スタイルにあった。
「EF55」は片側が「ムーミン」でもう一方は切妻。主たる運転席は「ムーミン」側のみで、進行方向を変えるには蒸気機関車と同様に方向転換が必要となる。こうした使い勝手から1960年代に入ると、3両とも廃車されてしまった。
それから20年以上の時が流れた1986年、このうちの1両を所有していた現JR東日本高崎支社が臨時列車として走らせ始め、多くの鉄道ファンを魅了してきた。
「EF55」のさよなら運行は今年10月中旬に決まった。同社担当者は、確実な引退でははいとしながらも、「交換部品の入手が困難。メンテナンスできる技術者が年々減っている」とさよなら運行を決めた理由を明かした。
さよなら運行は12月6日を皮切りに、13日、14日、27日、28日、来年1月10日、11日、12日、17日、18日、合計13本。いずれも電気機関車「EF64」と重連で12系客車をけん引する。運行区間は上野~高崎~水上往復、高崎~水上往復、高崎~横川往復など。
全席指定のため乗車券のほかに指定席券が必要。指定席券は運行日の1カ月前から売り出しており、すでに12月6日、13日、14日は売り切れた。