「登り窯」で焼いた「日用雑器」、通販しない陶芸家が-高崎で即売展

通販しない石橋紀子さんのもうひとつのこだわり「登り窯」。間口4.8メートル、全長8メートル、火が入ると大きな生き物のように見える

通販しない石橋紀子さんのもうひとつのこだわり「登り窯」。間口4.8メートル、全長8メートル、火が入ると大きな生き物のように見える

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 2004年に榛名山ろくに工房「野の窯」(吾妻郡東吾妻町、TEL 0279-69-3351)を開いた陶芸家、石橋紀子さんが5月3日から、戸田書店榛名店(高崎市上里見町、TEL 027-374-3377)で陶芸展を開催している。

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 石橋紀子さんは法政大学文学部卒業後、益子焼の大宿窯(栃木県芳賀郡)を皮切りに大宮司道子さん、成井恒雄さんに師事し2004年、榛名山ろくに登り窯を築いた。

 高知県出身の石橋さんが榛名山ろくを選んだきっかけは「益子から遠くない美しい林を探した。赤城山はリゾート開発されている場所が多く、手つかずの自然を追い求めたら榛名山ろくに行き着いた。登り窯に適した三寸勾配の斜面もあった」(石橋さん)という。

 登り窯は山の傾斜地を利用していくつかの焼成室をつなげて築く窯で、たくさんの陶器を一度に焼き上げることができるのが特徴。石橋さんの登り窯は間口1.8メートル、全長約8メートル、3室からなる。「素焼きでも本焼きでもたき始めると3日かかる。本焼きの場合は2日目の朝から一昼夜付ききり」(同)。

 石橋さんは窯の温度をみるのに温度計を使わない。「心配な時もあるが、師匠(成井恒雄さん)の考え方や手法に添って火の色を見て焼成室の具合をみる。窯だきだけでなく、蹴ろくろや益子焼の伝統釉にもこだわっている」(同)。

 石橋さんが成井さんの門をたたいた時、「すでに一通りの技術は習得していた後だったので『教えることは何もないよ』と言われたが、人間として陶芸家としての哲学を学ばせてもらったおかげで、納得のいく作品を作りたいと思いながらも、売りやすいものをたくさん作らなければいけない現実を捨て去ることができた」(同)と振り返る。

 「実際に手に取って買い求めてほしいので、販売は個展、常設展示しているショップ、または野の窯で」(同)と、通信販売はしない。また、「壷でも花瓶でも普段の生活の中で使うものはくみ出しや土瓶と同じく日常使う器。だから私の作品はみな『日用雑器』」(同)という石橋さん。

 今回の陶芸展では「日用雑器」約90点を展示している。価格は1,300円~12万円。開催時間は9時~21時30分。今月30日まで。

関連写真:石橋紀子さん作の日用雑器いつか実物大の子ゾウを焼く-高崎の女流陶芸家が上野で(高崎前橋経済新聞)「あえて稚拙な形」を追求-秋田在住の陶芸家がモダンデザイン食器展(秋田経済新聞)野の窯戸田書店榛名店

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