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高崎の老舗食堂が閉店-ラーメン30円の時代から街とともに

人気メニューのひとつ「しょうが焼肉定食」(800円)柔らかなロースが3枚。切干ダイコンの煮物は切干作りから、カツオ節でだしを取った味噌汁、手作りのハクサイ漬けとたくわん

人気メニューのひとつ「しょうが焼肉定食」(800円)柔らかなロースが3枚。切干ダイコンの煮物は切干作りから、カツオ節でだしを取った味噌汁、手作りのハクサイ漬けとたくわん

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 高崎の老舗食堂「大谷食堂」(高崎市本町、TEL 027-322-2182)が、83年の歴史に幕を引くことがわかった。

間もなく消える白いのれん

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 大谷食堂は「バス通り」と呼ばれる「九蔵町通り」にある。創業した1929(昭和4)年の九蔵町通りには県庁舎があり、路面電車が走り、店を開ければ来店者が絶えなかった。当時ラーメンは30円、カツ丼が80円だった。

 県庁が移転すると、火災で庁舎を失った市役所が移転してきた。市街地は買い物客で賑わい、「えびす講」や「初市」には人があふれた。

 現在の店主大谷秀之さん(2代目)、妻の絢子さんは1960(昭和35)年、祖父の信男さんから店を引き継いだ。代替わりしてからでも半世紀を越える。1970年代になると出前が多くなり、麺類の提供をやめた。逆に秀之さんの長男、文男さんはラーメンの道を選び、後に「麺屋大谷」(同市筑縄町)をオープンした。

 最近は、街自体の人が減り来店者が減少。絢子さんは「チェーン店では食べられないものを」と、ていねいにだしをとった味噌汁を作り、ハクサイを漬け、ダイコンを刻んで切干を作るなど努力を重ねてきた。

 店を開ければお客様が待っていた時代から、出前でてんてこ舞いした時代、他店との差別化に心を砕いた時代を駆け抜けた絢子さん、「さびしいが、動けるうちにやめる方がいい」と前を向く。

 営業時間は11時30分~14時、16時30分~19時。日曜祝日定休。3月31日まで。

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