群馬県庁に10月19日、今年6月に小惑星探査機「はやぶさ」から分離して、豪州ウーメラ砂漠に帰還したカプセルのレプリカが展示された。
はやぶさのカプセルの開発・製造はIHIエアロスペースが手がけた。同本社は東京都江東区にあるが、カプセルの設計・製造を手がけたのは同社富岡事業所(群馬県富岡市)だった。これが縁で、群馬県にレプリカが寄贈されることになった。
カプセルは直径40センチ、高さ20センチのアルミ合金製。はやぶさから切り離されたカプセルが大気圏に再突入する際には、スペースシャトルの再突入より高温にさらされることになる。冷却方法はアブレーション冷却と呼ばれる耐熱素材(ヒートシールド)自体が熱を奪いながら減っていく方法がとられ、ヒートシールドにはFRPが使われた。
6月13日、カプセルの寿命は3年過ぎていた。にも関わらず、カプセルのすべてがパーフェクトに機能し帰還した。片道切符だった惑星探査を往復へと変えた瞬間だった。
IHIエアロスペース広報グループの河西さんは「本当に戻って来るかどうか不安だった。『戻れないのでは』という見方が一般的だったし、地球に帰還できてもカプセルが手元に戻るのは無理かと思っていた。カプセル回収時に当社から設計、製造に携わった2人が現地入りした。この2人はもちろん、社の全員が声が詰まって言葉が出ないほど感動した」と振り返る。
群馬県庁での展示は今月21日まで(9時~18時)。今月27日~30日には「ポートメッセなごや」(名古屋市港区)で開催される「メッセナゴヤ2010」群馬県ブースで、11月以降は展示場所未定だが、群馬県内の公共施設に展示される予定。
「はやぶさ」のカプセルには何らかの物質が入っていることが確認された。河西さんならずとも「どんな小さなものでもいいからイトカワのものが入っていてほしい」と願ってやまない。