弦に絹糸を使った琴と三味線で春の調べ-前橋でセッション演奏

左が岡部秀龍さん、右が岡安喜九野(秋元恵津子)さん

左が岡部秀龍さん、右が岡安喜九野(秋元恵津子)さん

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 絹の生産で知られた群馬県にちなみ3月22日、絹糸を使う楽器である「琴」と「三味線」のコンサート「絹の響」が「前橋プラザ元気21」(前橋市本2)で開催され、邦楽ファンが一足早い春の調べを楽しんだ。

座繰り器、シルクランプなど絹に関する展示

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 演奏は、琴=岡部秀龍さん(前橋市出身)、三味線=岡安喜九野(秋元恵津子)さん(伊勢崎市出身)。地元で邦楽に取り組んでいる二人のセッションは2年ぶり。

 岡部さんは幼少のころから箏曲を学び、尾崎敦子師、宮下伸師に師事。「アジアクラシック音楽コンサート」「全国箏曲祭全国箏曲コンクール」などで数々の賞を受賞するなど国内外で活躍。現在は宮下伸箏曲研究所の主任教授を務める。

 岡安さんは、日本大学法学部を卒業後、歌舞伎音楽に魅せられ当時、前橋で長唄を教授していた故杵屋貞美津師(長唄杵勝流)に師事、その後、岡安流の名取となる。現在は、古曲一中節を七世宇治紫文師(重要無形文化財)に師事するとともに、小唄、笛、日本舞踊などの伝統芸を学びながら、都内や群馬教育センター、高崎市立塚沢中学校、自宅教室などで後進の指導に当たっている。

 琴と三味線の弦は絹糸が使われてきたが、最近は琴の糸はナイロンが多くなっている。当日は琴と三味線のソロの後に合奏した「六段の調べ(古典)」では、絹糸を張った琴が使われた。コンサートを終えた岡部さんは「絹の琴の音色を楽しんでもらえてよかった。絹糸はナイロン糸よりいい響きを持っている。琴でも古典だけになりつつある絹糸の音色を広めたい」と話す。

 岡安さんは「今は街を歩いても三味線の音が聞こえてくるなんてことはまれ。先人の言葉を借りれば、私も『街の音になりたい』と思っている。これを機会にこうした伝統芸に興味を持ってくれる人が出れば」と力を込める。

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