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前橋・丸十ベーカリー、84年の歴史に幕 2月末まで思いを込めて

店主の木曽正一さん(2010年取材時)、今回「写真はいい」という木曽さん。寂しい気持ちが伝わってきた

店主の木曽正一さん(2010年取材時)、今回「写真はいい」という木曽さん。寂しい気持ちが伝わってきた

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 焼きたてのパンとサンドイッチで知られる「丸十ベーカリー」(前橋市本2、TEL 027-231-6078)が2月末、閉店する。

【写真】間口2軒、創業から同じ場所 現在の店舗外観と人気のパン

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 丸十ベーカリーは1932(昭和7)年、木曽加久治さんが同地で開業。バブル期には近隣に2軒のパン店があったが、昼時には店先に30~40人の行列ができた。バブル崩壊後、客数は減ったものの職人2人、販売4人の小規模経営は時代に翻弄されることなく堅実だった。

 同店の開店時間は5時45分。仕込みは深夜1時から。加久治さんの長男で現在の店主、正一さんの体調が万全といえない状態になり、妻で販売職の正子さんは「一年ほど前から区切りを付けなければいけない」と考えていたという。昨年12月、6人で相談。2月末での閉店を決めた。

 正一さんの妹で、正子さんとともに販売を担ってきた千明美知子さんは「親が亡くなった時、涙は出なかったが、今回は寂しい」と涙を浮かべた。

 子どもの頃から同店のパンを食べてきたという高橋康子さん(同市大友2)は「昔ながらの味で安くておいしい。閉店はしらなかった。思い出を冷凍する」と食パンを予約した。

 同店は1945(昭和20)年の前橋大空襲時と1991年、2度の火災に遭った。正子さんは「どちらも再建するまでお客様が待っていてくれた。多くの人に支えられてここまで来られた。本当に感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 営業時間は5時45分~19時。日曜祝日定休。

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