創業45年の洋食店「グリルねんりん」(高崎市飯塚町、TEL 027-361-7971)で当時の高崎の洋食事情について聞いた。
ウニクス高崎の北西側の住宅街にある同店。店主の池田数男さんは寄合町にあった「喜笑軒」を経て都内で修業し、大手前通りにあった「イタリアングリルかもしか」のチーフを務めた後独立。1965(昭和40)年10月に同店を開いた。
「パスタの街」として知られる高崎だが、当時スパゲティはなじまず、サンプルを入れたガラスケースをのぞき込む人はいても、人が入らなかったという。池田さんは「開店した年の大みそか、支払いを済ませたら3,500円しか残らなかった」と苦笑する。
1ドル360円の時代、貨幣価値は異なるが厳しい状況であることは容易に想像できる。窮状を切り抜けようと池田さんはラーメンの提供を始める。ラーメンは見事にヒット。それを契機に客が入るようになった。
順番待ちしていた電話が開通したことで出前の注文が取れるようになると拍車がかかった。1970年代初頭までの日本は経済成長が10%を超える高度成長に沸いた。企業も家庭も夕食も出前で賄うことが多かった時代だ。
スパゲティはメニューから姿を消したが、ルーから作るカレー、手作りのマヨネーズを使うポテトサラダ、きちんと包んだオムライス、サクサクのエビフライなど当時からの洋食メニューは今でも健在。2代目の年数さんが創業当時の味を守り続けている。
営業時間は11時30分~14時、17時30分~20時。日曜・祝日定休。