前橋下大島町などで8月20日ごろになって、やっとナシの収穫が始まった。例年は7月下旬から直売店が店を開けるが、今年はまだ収穫量が充分でなく、シャッターを下ろしたまま予約注文のみに対応する店も見られる。
前橋でナシの栽培が行われるようになったのは江戸時代で、当時は産地として広く知られた。現在、県内では高崎市の生産量が最も多く、前橋市、伊勢崎市などが続く。総生産量は約7,000トンで全国14位。
大島町は前橋市街地から南東に2~3キロに位置する。赤城山方面は別としてこのエリアでの4月過ぎの降雪はまれで、「ちょうどナシの花が開くころに降られたため、花が凍ってしまった」(下大島町果樹組合長の関口恒雄さん)と振り返る。
例年であれば夏休みが始まると早生の「筑水」など、お盆には「幸水」が最盛期を迎える。「1~2日遅れることはあるが、こんなに遅れたのは今年が初めてで、生産者も頭を抱えている。予約は例年通りに入っており、現在は、予約分は賄えるのものの店売り分が充分に用意できない状態」(同)。
関口さんの直営店「関口果樹園」(TEL 027-267-1551)だけでなく、隣の「生形果樹園」(TEL 027-266-6877)、「登丸果樹園」(TEL 027-266-0479)などほとんどの直売店が店を開けるがすぐに売り切れてしまうため、やむなくシャッターを下ろす日々が続いている。
関口さんら生産者は「猛暑の収束とともに収穫がピークを迎える」と予想しているものの、「なにせ初めてのことなので」と祈るような気持ちでナシの実を見つめている。