上武大学駅伝部監督の花田勝彦さんが9月15日、高崎市総合福祉センター(高崎市末広町)で講演した。定員は40人だったが、申し込み者が多かったため定員50人に拡大した。
花田さんは「エスビー食品で瀬古利彦さんの指導を受けていた。引退後もエスビーに残って指導したかったが、わがままな選手だったので瀬古さんから『オリンピックにも出たんだから、どこかに就職できるだろう』と突き放されてしまった。就職は厳しかった。ちょうどそのころ、上武大学の小野君からメールをもらった」など、無名チームの監督に就任するまでを振り返った。
「上武大学を知らなかったので、最初は上智大学と勘違いした。上武大学から指導者の要請があったと仲間などに相談を持ちかけると100人いたら99人が反対した。唯一賛成してくれたのが瀬古さんだった」と笑う。
箱根駅伝への挑戦は「チーム作りに徹した」という花田さん。トップの選手を集めるのではなく、やる気のある選手を見つけて声をかけた。「20キロを60分30秒そこそこで走る選手を10人集めれば箱根に出られる。理事長から外国人選手もどうかとすすめられたが、当分の間、外国人選手を入れるつもりはない」という。
「最終的には人間力、魅力のある人間にならなくてはいけない。正直でなければならないことを選手たちに伝えた。1期生が卒業する時、キャプテンだった選手から『上武に来た時、何もなくて失敗したと思ったが、今は上武に来たことを誇りに思う』という言葉を聞き、自分の思いが伝わったと感動した」など、エピソードを交えながら、「駅伝も人間力」であることを訴えた。
講演を聞いた高崎市立塚沢中学校の齋藤峯子校長は「人間としてきちんと人間力を持っている。夢を持っている。生き方が素晴らしい。箱根駅伝での上武大学のゴールを見て感動し、生徒に話した。今日はサイン色紙をいただいたので、色紙とともにこの感動を生徒に伝える」と話した。
上武大学は10月16日の箱根駅伝予選会で6位以内を目指す。