株式会社大田花き(おおたかき:本社東京都大田区 代表執行役社長:萩原正臣 東京証券取引所スタンダード市場7555)は、東京都中央卸売市場大田市場に入場する国内最大級の花き卸売会社です。当社では毎年、流通した花きの中から高く評価された品種、またそれを生産出荷された方にフラワー・オブ・ザ・イヤーOTAの賞を授与しております。第21回を迎えるこのたびは、全国、および輸入品を含む7万点以上の候補から、次の4点が選出されましたことをお知らせいたします。
今年の受賞花には、「ナチュラルでほかの花と親和性の高い素材感」と、「地域ブランドの創出」の点で評価される素材が揃いました。強いトレンド性よりも、“使われ続ける理由”を持つ柔らかな花材が評価された年だったといえます。

枝物 “七立栗(ななたてぐり)”
【最優秀賞】枝物 “七立栗(ななたてぐり)” JA高知県七立栗生産組合(高知県)高知県幡多郡黒潮町(はたぐん・くろしおちょう)の山中にのみに自生する非常に珍しい種類の栗です。小ぶりのイガが一枝に20個ほど連なって実り、独特の愛らしい姿をしています。通常の栗と異なり、一年に七回収穫できることから「七立栗(ななたてぐり)」と。「1200年ほど前、道に迷った弘法大師を心深き夫婦がもてなし、その後、裏山にたくさん実をつける栗の木がたくさん生えた」という伝承から、地元では「大師栗」とも呼ばれています。枝物需要の高まりを背景に、地域ブランドと市場トレンドの双方を捉えた成功例といえます。出荷期は8月下旬から10月。なお、本賞において高知県から受賞するのは今回が初めてです。

コチョウラン “サーフソング”
【優秀賞】切花コチョウラン “サーフソング” 加藤洋ラン園 加藤英世(千葉県)切花コチョウランは輸入品の大輪白系が市場の主流を占める中、加藤洋ラン園は、色付きのミディタイプ約30品種を軸に国内生産をリードするトップブランドとして知られています。生花小売店や生花デザイナーから需要の高いニュアンスカラーを積極的に導入し、花束を華やかに仕立てる“マストアイテム”として高い支持を得ています。「作りやすさ」よりも「市場が求める花」を追求してきた同園は、色幅や出荷時期に徹底的にこだわってきた姿勢がこの度の受賞に繋がりました。

ルドベキア(キク科)“ヘンリーアイラーズ”
【特別賞】ルドベキア “ヘンリーアイラーズ” JAあがつま草花部会(群馬県)JAあがつまは業界では全国屈指の草花トップブランド。ルドベキア“ヘンリーアイラーズ”で満を持して受賞。細い筒状の花弁が特徴的。インテリアとガーデン素材のトレンドが均質化する時流を巧みにとらえ、ナチュラリスティックガーデンの要素を切花分野に応用。“窓の外にあった花を、窓の内側で楽しむ花へ”とリポジショニング(再定義)した成功例といえるでしょう。

キンギョソウ “サクラホイップ”
【新商品奨励賞】キンギョソウ “サクラホイップ” JAいるま野川越市切り花出荷組合「芳華(ほうか)」(埼玉県)キンギョソウの八重(多弁)品種は珍しく、その繊細なペールピンクのグラデーションと新鮮な存在感が高く評価されました。これまで全体トレンドをリードしてきた淡く軽やかな色調とタテラインの形を踏まえつつ、本品種は“キンギョソウ”というカテゴリーに新たな価値をもたらした点が特筆されます。キンギョソウの受賞は本賞初。カテゴリーの枠を超えた快挙として、今後の切花市場にも大きな影響を与えることが期待されます。