高崎市出身の作家、斉藤健司さんの反戦コラージュ作品が高崎市庁舎(高崎市高松町)の21階展望ロビーに展示されている。
展望ロビーでの作品展示は今回で21回目。同市のアートワーク選定委員会が1年に2人ずつ作家を選定し、各数カ月間展示する。
斉藤さんは第二次世界大戦ただ中の1942年、高崎市で生まれた。斉藤さんが2歳になった時、父親は出征。終戦を迎えても父親が帰ることはなかった。
斉藤さんの生家は同市郊外で農家を営んでいた。農業に取り組み始めたのもつかの間、道半ばに外地で果てた父親に対する思いは年を追う毎に増幅、やがてその思いを込めたコラージュ作品を手がけるようになる。
制作にあたっては北京、ハルピン、重慶、フォリピンのルソン島、沖縄など戦跡での取材を重ね、沖縄では遺骨収集活動にも参加した。
今回展示中の作品は2002年~2008年に制作された6作品で、紙、布、アクリル絵の具が使われている。文字の書かれた紙は戦争中に兵士が教科書として使用した「典範類」や、墓石の拓本など。幾重にも貼り重ねる作業が戦死者への鎮魂にも見える。
こうした作品について斉藤さんは「ずっと以前から(父親のことを)作品にしたいと思いながら表現できないでいた。やっとの思いで手がけながら10数年。重いテーマであるが今後も描き続けたい」と話している。
展示は今年11月まで。