高崎ボクシングジム(高崎市八千代2)所属の笠井康選手(フライ級)が6月30日、後楽園ホールで現役最後のリングに立つ。30歳でプロテストを受けてから6年間、現在の対戦成績は5勝12敗3引き分け。
笠井さんは「あしたのジョー」「ロッキー」に刺激を受け、高校2年の時に伊勢崎ボクシングクラブの門をたたいた。「いつかはプロに」と思い続けた笠井さんの転機は29歳になった時。「プロテストは29歳までに申し込まないと受けられない。2003年9月6日で30歳になってしまう。やっぱり受けたい」(笠井さん)と高崎ジムに入りプロテストを受けた。
プロテストに一度で合格した笠井さんは2004年、デビュー戦で植木隆史選手(草加有沢ジム)と打ち合うも判定負け。「アマチュア戦が3ラウンドなのに対しプロは4ラウンド、体力がついて行かなかった」と振り返る。
日本にはボクサーの定年制度があり、プロボクサーは37歳になると辞めなければならない。定年までボクシングを続けられるボクサーは少なく、笠井さんは「大きなけががなかったから」と話す。
同じ高崎ジムで昨年10月に引退した新井恵一さんは「誰に勝ったとか何勝したかとかより定年までボクシングを続けるのはものすごいこと。本当によく頑張ってきたと思う」と賞賛する。高崎前橋経済新聞に「定年まで続けたボクサーがいる」と連絡をくれたのは新井さんだった。
笠井さんは昨年11月29日、さいたまスーパーアリーナで開催されたタイトルマッチ「亀田興毅 VS 内藤大輔」の前座を務めた。
「試合には負けた(判定)が、あんなにたくさんの観衆の前で試合ができたことは大切な思い出になった。ボクシングの魅力は本当に真剣になれる場。体一つで、こぶしだけで競うシンプルなところが好き。最後の試合は今までやってきたことをすべて出し切りたい」と力を込める。
高崎ジムの森田良治会長は「笠井くんは人間的にまじめで性格もいい。最後の試合を勝って引退させたい。6年間のプロ生活の思い出になる試合をしてもらえたら」と話す。
最後の試合の対戦相手は沼田慶一選手(E & J カシアスボクシングジム)。ゴングは19時ごろになるとみられる。