観光キャンペーン「機関車の街 高崎」スタンプラリーに参加している老舗「糀屋(こおじや)」(高崎市元紺屋町、TEL 027-322-2911)で「あまさけ」について聞いた。
同店は1566年創業で、当主の飯嶋藤平さんは22代目。430年という長い間、高崎の街とともに歩んで来た。「当主は代々『藤平』を名乗ってきた。私が藤平を襲名したのは6年前で、通り名ではなく戸籍を変更する」と藤平さん。
高崎市内に3拠点を構える同店、年間の節電目標をクリアするために工場内の冷蔵庫を止め、元紺屋町の店舗を休業していた。「こうじを使う商品に冷蔵庫は不可欠。元紺屋町の店舗はスタンプラリーの開催に合わせ営業を再開した。現在も全体で17~18%の節電ができている」という。
スタンプラリーは参加19店舗のいずれか3店舗で対象商品を購入すると、特製の機関車だるまがもらえるというもの。
同店の対象商品は「あまさけ」と「こうじ漬け」だ。「あまさけ」というと初詣の神社で配られる甘い酒が思い浮かぶが、あれは酒粕を溶いたものに砂糖を加えたもの。同店の「あまさけ」は米のでんぷんをこうじで発酵させたものでアルコール分はない。
「あまさけ」はビタミンB群とともに、疲労回復に、また熱中症対作に効果があるとされるクエン酸を含んでいる。夏の季語であることが示す通り、古くは滋養強壮を目的に夏に飲む飲み物だったのだ。その上、「昔、機関車の乗務員は乗り込んだら長時間下りられなかった。乗務員室は石炭の熱で温度が上がり、食べ物を持ち込んでもいたんでしまうため、食べる代わりに『あまさけ』を飲んだと聞く」というから、鉄道ファンは見逃せない。
藤平さんはスタンプラリーについて「高崎の人、他のエリアから出かけて来てくれる人、たくさんの人と話す機会が増えた。昔話を通して高崎をPRできるいい企画だ。市街地を巡るガイドツアーもあるので、こちらにもぜひ参加してもらえたら」と呼びかける。