高崎ボクシングジム(高崎市八千代2)所属の笠井康選手(フライ級)が6月30日、後楽園ホールでプロ最後の試合に臨んだ。沼田慶一選手(E & J カシアスボクシングジム)に判定で敗れたものの「満足した」と話している。
試合は打ち合いに終始したが沼田選手の方の手数が多く、高崎ジムの森田良治会長は「決して見劣りする試合ではなかった。ただ、単発で当たってもポイントを取るまで畳み込むようなパンチが出せなかった」と振り返る。
笠井さんは5R目に左側頭部と額をカット、6R目に出血が激しくなったが8Rまでひるむことはなかった。
リングサイドで森田会長は、日本ボクシングコミッションの関係者から「いい試合だった」「よく頑張った」と声を掛けられたという。
定年までボクシングを続けるボクサーは多くはない。笠井さんは「ボクシングは仕事と両立させるのが難しく、定年した後の生活を考えると仕事を取るしかなくなる。自分は親が経営する自動車部品工場に勤めながらだから」と話す。
強靭(きょうじん)な体と力強いパンチ、ボクサーはモテるというが、「モテるみたいですよ。でも独身が多い」と笑う笠井さん。結婚するには収入を安定させなければならず、ボクシングとの両立は難しい。
プロ最後の試合を「自分の力は出せた。よくここまでやって来られたなと思いますよ」と振り返り、ほほ笑む目がやや潤む。
笠井さんは今後も練習を続けながら、「自分が役に立つことがあれば後輩にアドバイスしたいし、『おやじファイト』にも興味がある」とも。おやじファイトはプロアマ問わず、33歳以上の男性を対象にしたアマチュアボクシングのスパーリング大会で、元世界チャンピオンの小林光二さんら元有名プロボクサーが出場したことで知られる。
笠井さんは「素晴らしく動きのいい60歳のボクサーの試合を見た。体を動かすことは続けたいので、もしかしたら出るかも」と話している。