海のない高崎で新種の「クジラ」-自然史博物館で実物展示

ヒゲクジラの進化を考える上でも重要な発見となった「ジョウモウクジラ」(群馬県立自然史博物館所蔵)ナイフの刃のように見える部分の右側が上顎骨

ヒゲクジラの進化を考える上でも重要な発見となった「ジョウモウクジラ」(群馬県立自然史博物館所蔵)ナイフの刃のように見える部分の右側が上顎骨

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 群馬県立自然史博物館(富岡市上黒岩、TEL 0274-60-1200)が4月17日、2002年に高崎市吉井町で発掘されたクジラの化石が「ヒゲクジラ」の新属新種であることを発表。日本でのヒゲクジラの新属新種は3例目と珍しく、「海なし県で知られる群馬県のクジラ」と話題を集めている。

群馬県立自然史博物館

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 クジラの化石は2002年、清水勝さん(桐生市在住、群馬古生物研究会会員)が鏑川の川床から発掘した。この化石は調査を行う上で重要な頭蓋(ずがい)の保存状態が良く、ヒゲクジラの進化を研究する上での重要な標本と位置づけられた。

 学名は属名=ジョウモウケタス(ケタスはラテン語でクジラの意)、種名=シミズアイ、和名はジョウモウクジラに決まった。

 ジョウモウクジラは頭蓋の長さ(755ミリ)から、体長は4メートル程度だったと推定される。現生のヒゲクジラ類で最も小さいミンククジラでも体長は8メートル前後あり、これに比べるとジョウモウクジラは小型に思えるが、ジョウモウクジラが高崎の海を泳いでいた中新世においては標準的な大きさだという。

 ジョウモウクジラが発掘されたのは群馬県西部(安中、高崎、藤岡)て広く分布する「安中地層群」の「原市層」の上部。原市層が1350~1100万年前に堆積した地層であることから、ジョウモウクジラは1100万年前のものと考えられている。原市層はこれまでに発掘された貝などの化石から、堆積した当時は水深180~1,800メートルの海だったことがわかっている。

 自然史博物館の木村さんは「群馬は海とのつながりがないように思われているが、実際には浅からぬ海だった時代があり、イルカやクジラが泳いでいた。ジョウモウクジラを通じ、こうした大地の歴史に興味を持ってもらえたら」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は、一般=500円、大高生=300円。同館ではジョウモウクジラ(実物)を5月9日まで一般公開し、以降は同館で保管する。

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