審判が必要な「アート」-J2の公式審判が高崎の近代美術館に

未だかつて審判が必要な「アート」があっただろうか。試合終了の笛を吹く井口さん

未だかつて審判が必要な「アート」があっただろうか。試合終了の笛を吹く井口さん

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 群馬県立近代美術館(高崎市綿貫町、TEL 027-346-5560)で9月5日、「巨大サッカーボードゲーム」を使ったトーナメントが開催された。

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 巨大サッカーボードゲームはアートユニット「KOSUGE1-16」(車田智志乃さん、土屋亨さん)」の作品。KOSUGE1-16は、サッカーボードゲームや等身大の紙相撲など「心身のコミュニケーション」をテーマにした作品が話題を呼んでいる。

 今回の展示は夏休みの子ども向けアートイベント「まいにちアート!!」の一環で、ゲーム用の人形、スポンサーのアドボードなどをワークショップに参加した子どもが作成した。

 サッカーボードの人形は彩色のみだが、メガネをかけた選手や外国選手などバリエーション豊か。アドボードには企業名やスローガンが大きく描かれており、スポンサーへの配慮もうかがえる仕上がりになっている。

 車田さんは「巨大サッカーボードゲームは2005年に開催された横浜トリエンナーレに出品した作品。展示は今回で3回目だが子どもたちが色を塗ったり、絵を描くなどワークショップ形式にしたのは初めて。ハプニングもあったが多くの人と触れ合えてよかった」と振り返る。

 当日は大人を含む16チームが熱戦を繰り広げた。審判はJ2の公式審判、井口克三さんが担当した。井口さんはコイントスを行うなど本番さながらに試合を進行。ゴールが決まると、いつもは静かな美術館に笛の音と歓声が響いた。

 参加チームのひとつ「あーとでまえだいがく」の山口さん(中居町)は「参加するにあたりユニホームを決めたが、ゲームについては何も考えていなかった。やってみてびっくり。子ども相手にかなり本気になってしまった」と息をはずませる。

 車田さんは「油絵が本業だが、その作品が世の中のためになっているのかどうかわからない。『心身のコミュニケーション』をテーマにした作品は出会いのきっかけをつくり、つながりを深める役割を果たす。この4分の3サイズのサッカーボードゲームは貸し出しの要望も多い」と話す。

 巨大サッカーボードゲームは施工が必要で、組み立てに10日ほどかかる。4分の3サイズは組み立てに要する時間に配慮しており、「4時間ぐらいで組み立てることができる」(車田さん)という。

 来年の夏に向けKOSUGE1-16は、新作「みこし」「山車」の制作を始める。

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