「縁起だるまの少林山」と上毛かるたに歌われる少林山達磨寺(高崎市鼻高町)で毎年1月6日・7日に開かれる「七草大祭だるま市」。今年は寺と群馬県達磨製造協同組合の意向が合わず、境内では寺が、高崎物産振興協会の有志が門前の市道でだるまを販売するという異例の事態となった。
【写真】昨年までとがらりと雰囲気が変わった達磨寺の境内(1月7日撮影)
「七草大祭だるま市」で販売されていただるまは「高崎だるま」で、群馬県達磨製造協同組合に加盟する50店が生産するもの。各店とも注文があれば世界中どこでも発送しており、年間の生産量は約90万個に上る。
達磨寺は1700年代初頭に創立されたと考えられており、創立当初から「七草大祭」が行なわれていた。高崎でのだるまの生産は1780年代に始まったとされ、時を同じくして「七草大祭」で販売されるようになり、「七草大祭だるま市」「少林山のだるま市」と呼ばれ親しまれてきた。
200年を超える歴史にカンマを打つことになった今年の「七草大祭」。今年は寺の意向と組合の意向が合わず、例年通りの開催が危ぶまれた。群馬県、高崎市の関係者が間に入り調整を試み組合が譲歩するも、最終段階で決裂。昨年までだるま店が軒を連ねていた境内には、飲食屋台が並んだ。
高前経済の取材に対し同寺副住職の廣瀬一真さんは「人出も例年並の約20万人となり、無事終了した。形式が変って戸惑う人もいたが『以前より参拝しやすくなった』『厳かな雰囲気になった』『おいしい店がたくさん出店していてよかった』と好意的な意見が多かった。一方で『だるま屋さんが出ていないので寂しい』という声もあった」と話した。
一方、だるまを販売した高崎物産振興協会の関係者は「例年15~20張りのテントを並ぶが今年は5張りに留まり販売個数が半減した」と話す。現場に立った人からは参拝客が少なかったという声が上がった。
組合には「前橋などのように市街地でだるま市を開催してほしい」要望も寄せられているというが、「だるま店の多いエリアを『だるまの街』にしたい」という考えもあるという。
「来年のことはまだわからないが、だるま店に出店してほしい」という寺。「であれば譲歩も必要」という組合側。今回がカンマになるのかピリオドになるのか、関係者は気をもんでいる。