群馬大学大学院の久枝一(ひさえだはじめ)教授と製薬会社の研究員らによるグループがマラリア原虫に対する感染防御の新しいメカニズムを解明したことを発表した。研究成果は3月11日(日本時間)、英国の科学雑誌「eLIFE」電子版に掲載された。
研究を行ったのは群馬大学大学院医学系研究科国際寄生虫病学分野の久枝教授と今井孝助教、大塚製薬微生物研究所の石田英和研究員ら。
マラリアはマラリア原虫という寄生虫による感染症。エイズや結核と並ぶ三大感染症の一つで、年間60万人もの子どもが命が奪われておりワクチン開発が切望されてきたが有効なワクチンはない。
マラリア原虫は肝細胞に寄生し、発育すると血液中に移行する。赤血球ステージでは免疫系の攻撃を巧みに回避しながら感染した赤血球を破壊して新たな赤血球へと感染を繰り返し増殖する。
久枝教授らは、この赤血球ステージマラリアに対するキラーT細胞などによる防御メカニズムを解明。画期的なマラリアワクチンの開発につながる知見として期待される。